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私は男を転がす才能で、どんどん頭角を表していった。
しかし、お店のNo.1は『エリカ』だ。
可憐な容姿と清楚な佇まいで、不動のトップ。
私がヘルプにつくと、嫌な顔ひとつせず自分の太客にも紹介してくれる。
「服部さんは、不動産会社の社長さんなのよ」
恰幅のいい服部という客が、私の顔をじーっと見つめていた。
「シホちゃんていうんだ…?」
「初めまして!よろしくお願いします」
「ほら、お酒をお作りして。あと灰皿も変える」
「あっ、はい」
言われた通りにやると、服部さんがエリカのことを感心する。
「いやぁ、エリカちゃんは新人にも優しいね」
「そんなことないですよ。皆んなでお店を良くしていきたいから」
「ほぉ、立派立派!シホちゃんも、エリカちゃんみたいな一流のホステスを目指すといい」
「はい」
服部を挟んで、向こう側にいるエリカに微笑んだ。
それからもエリカのヘルプにつくことが多く、私はNo.1の仕事ぶりを頭に叩き込む。
この点においては、優しく仕事を教えてくれるNo.1に感謝をしていたが──。
「私の客に、色目使うんじゃないわよ!」
仕事が終わり、着替えているとエリカが鬼の形相でやってきた。
「私は別に…」
「あんたみたいなど素人、私に勝てるわけないんだから。身の程をわきまえるのね」
そう言って、山の頂から私のことを見下す。
それがこの女の本性だった。
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