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「シホちゃん、そこは新しいおしぼりを渡すのよ」
優しく私にアドバイスをし、自分の好感度を上げるエリカ。
浅ましい女の策略が、こうして水面化で動いているんだ。
こうやって新人を陰でいびって辞めさせ、No.1の座を保っている。
ふんっ、馬鹿な女。
鼻で笑うも、確かにエリカは抜け目がなく、付け入る隙がない。
でも、今に見てろ。
私がその椅子を、奪い取ってやるから。
「エリカさんはホントに優しい先輩で、私の憧れなんですー」
調子を合わせることも忘れない。
エリカの頬が、一瞬だけ強張ったのが分かった。
この女が仕掛けてくるのは、私を恐れているからだ。
私がNo.1を脅かす存在である、証明でもある。
「シホさん、ご指名です」
確実に指名が入っているのが、その証拠。
「わぁ、服部さん?今日はエリカさんじゃなくていいんですか?」
「どうしても君と話がしたくてね。積もる話を」
チラッとエリカを見ると、物凄い顔で私を睨んでいた。
鋭い視線が、私を萎縮する──わけもなく、顕示欲をいい感じに刺激する。
「私も色々とお話してみたかったんです」
耳元で囁く。
関係を持つことは、ご法度だ。
けれど、匂わせることはルール違反じゃない。
太ももに置かれた服部の手に、自分の手を重ねる。
あの女を、引きずり下ろすために──。
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