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俺の夢
ギュッタは2度も足手纏いと言われ腹を立て
「回復呪文! キュア!!」
ファイアの腕の傷が塞がった。
ファイアは凄んだ。
「俺の連れをガキだからって舐めんなよ~!」
残党首領
「これからが本番だ!」
残党の首領が合図を送ると、闇から残党が3名新たに出てきた。
ファイアはギュッタに目顔で、ファイアが進む方向を合図し、2人はピッタリ同じ動きをして敵の攻撃を躱した。
ファイアは敵に攻撃を仕掛け、ギュッタも敵と顔が合うとエロ本絶頂の挿絵を見せ付け、相手の出足を挫きファイアを支援した。
ファイア
「その武器! よく効くなぁ、ヘッヘ」
後から加わった大柄な男の斬撃を掻い潜り、ファイアは2人目の首を跳ね飛ばした。
細身の残党の男が遠方から杖を振り、呪文を唱えると火急弾を飛ばしてきた。
ギュッタ
「やばい! ファイア・フォースだ!!」
何と…ファイアは小便で火球弾を消火した。
ギュッタ
(あれ?見てはいけないものを…いや、今のは夢だ)
今度は他の残党たちが同時に斬撃で襲ってきたが、向かって左の残党の男はファイアに顎を蹴り上げられ、右の残党の男は既に首と胴が離れていた。
魔導師と思われる細身の残党は呪文で、氷の矢で雨を降らせた。
右に、左に必死で躱したが、2人とも身体中に裂傷を負ってしまった。
ギュッタ
「回復呪文! キュアー&ケアー!!」
ギュッタたちの傷の上に薄皮が張り、呼吸も少し落ち着いた様な気がしたが、細身の残党が再び呪文を唱えた。
ギュッタ
「また来るよ!」
ファイアは短刀を素早く回すと光の輪ができ、細身の残党目掛け光の輪を投げつけ、細身の残党の首を刎ね飛ばした。
それは実に不思議で、全く魔導の気配を感じなかったのだ。
ファイア
「これで2対2だ。互角だな」
残党首領
「糞! 死ね!! 紅蓮の華!」
騎士団の残党の1人はファイアを、もう1人は何とギュッタに斬りかかってきた。
ファイアは自分に襲いかかって来た大柄な残党の手首に蹴りを入れ仰け反らせた。
そしてギュッタを狙った残党首領目掛け、再び光の輪を出して投げつけたが、大刀で弾かれた。
仰け反っていた男と首領が同時に襲いかかって来た。
ファイアは反りの効いた短刀を杖代わりに呪文を唱え火炎弾を2発連射した。
残党1人には命中したが、残党首領は火炎を躱し、今度はファイアに上段から斬り込んできた。
「喰らえ! その短い刀で!!」
近距離からの斬撃である、短刀で受けられるはずがなかった。
ギュッタは目を伏せた。
悲鳴がする。
ファイアが、残党首領の右手首を跳ね飛ばしている。
次の瞬間残党首領は、ファイアに頭を掴まれ首を切り離され、辺りが血に染まる。
ギュッタまで返り血を浴びていた。
ファイアは火炎弾で倒した男の首も切って捨てた。
ファイアは、血まみれの小指を咥え、息を吹いている。
音はないが、空気が揺れる。
獣笛だ、闇の中から烏の群れが現れ、屍を讃むり、野犬とも狼とも見分けのつかぬ獣たちが、騎士団残党たちの首を何処かに持ち去る。
殺戮の証拠は隠滅され、戦いは終わった。
ギュッタは呆然としていた。
ファイアは反りの効いた短刀を一振りして血を払い懐に収め、ギュッタに話しかけた。
「ギュッタ。こんな俺に、夢なんかないんだよ」
暗闇でもギュッタには、ファイアの目から大粒の涙が溢れているのが分かった。
ギュッタはファイアに駆け寄り抱き付いた。
夜空に飛竜ハナの鳴き声がする。
ギュッタ
「ねえ、ハナちゃんの本当の名前って何?」
ファイア
「『赤い炎のハナちゃん』だよ、プリエトに来る前に名前を交換してもらったんだ。俺、お尋ね者だし」
ファイア・レッドは、元々赤い飛竜の名前だったのだ。
ギュッタ
「ハナちゃんも、ファイアさんも今の名前の方が似合てるね。」
ファイアはギュッタを思いきり抱きしめた。
ファイア
「有難う、こんな俺を怖がらないんだ。俺の夢は、やっぱりお前だよ。ギュッタ!」
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