“俺を待っていたもの”

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「なんだぁ、お前」 「!?」 人の気配を感じ、私は身を縮ませるようにして構えた。 男の人の声だ! 「…そんな睨むなよ。別に取って食いやしねぇよ」 彼は私に視線を合わせると、そっとその大きな手を差し伸べ私の頭を優しく撫でた。 「よく見たら、かわいい顔してんじゃん」 なんて言いながら私にふわっと柔らかい笑みを見せる彼に、思わずどきりとする。 「こんな所に来て、誰か待ってんのか?」 頬を撫でる彼の手に心地よさを感じながら、沈黙を返す。 だってまさか、迷子になったなんて言えないもんね。 「ふっ、かわいい奴だな。 ……俺の家すぐそこだから、一緒に行かないか? だけど…」 ふと彼は私の頭から手を離すと、ジッと私をなめるように見つめた。 「俺の部屋に入る前に、まずは一緒にお風呂だな」 「!?」 お風呂という言葉に、ぞくっと体が震えた。 「あがったら冷たい牛乳を飲もうな。そしたら、俺のベッドでぬくぬくしていいぞ」 私を安心させようとしてか、次は頬を撫でてくれた。 これも、気持ちいい。 次の瞬間体がふわりと浮いたかと思うと、私は彼の腕に抱かれていた。 「ホント、かわいいなぁ。 お前はきっと、俺の家族になる為にここにいたんだな。 待っててくれて、ありがとうな」 「…にゃー」 これで私、もう野良ネコじゃない。
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