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「よくやってくれた、勇者・ヒロシ。魔法使い・アレン」
ここははじまりの町。痛む身体を引き摺って何とか魔王城から帰還した俺とアレンは、町の中央の王宮で、たった今王様からねぎらいの言葉を掛けてもらったところだ。やっとやり遂げたんだという実感がわいてきて、不意に目頭が熱くなる。
「君たちの頑張りであのように、魔王城は解体が進んでいるわけだが、」
王様が王宮の東側の窓を指差す。つい数日前俺たちがいた魔王城が早くも半分ほど解体されている。
「見てくれ」王様が今度は西の窓を指差す。そこに見えたのは魔王城と瓜二つの建造物。
「王様、あれは?」
「新たな魔王が現れた」
「……は?」
「君たちの母・エリナの元カレだ」
「ぐえっ」
アレンが再び泡を吹いて倒れる。「申し訳ないが、もう一度行ってくれるか?」と王様。
「はい、だけどその前に、」俺は剣を深く強く握りこむ。
「諸悪の根源を倒してきます」
そう言い残し、俺は懐かしの我が家に向けて歩を進めた。
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