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「さて、気を付けて言ってくるのだぞ。技能査定もくれぐれ気を付けるようにな」
討士主導師であるコウゲンの言葉に、シクナは頷いて返す。
「父上、大丈夫ですよ。心配には及びませぬ」
「うむ……。」
余裕綽々とした様子のシクナに、コウゲンも頷くのだが――日頃の行いを思い返しては不安の念が残る。
「気を付けて行ってくるのですよ、サヤ」
弓士主導師であるシラユエが、サヤに向けて言う。
「はい。笹澄の者として、ヒユネ様の兵士として、その名に恥じぬように振る舞い、無事に帰って参ります」
弓隊の隊長であるサヤはしっかりと頷いた。ある意味では自分にこの日宮参りでの成否が掛かっている。
「お前だけが頼りだ。サヤ」
「分かってるわ。クレナイ……」
深刻な表情で見つめてくるクレナイに、サヤも覚悟を決める。
私がしっかりしなくては、この先大変な事になる。あのシクナの組は下手に暴走したりしないが、ふと油断すると、見えないところでとんでもない事をしでかす……。私が止めなければ、ヒユネ様とこの里に汚名が着せられる……。
シラユエ様からも皆を頼むと念を押されているのだから……。
「なにを不安な顔をしておるサヤ。そんな様子では後ろ指をさされるぞ。笹済の者として恥ずかしくないよう堂々と胸を張れ。はっはっはっ」
「誰のせいだと思ってるのよ……。」
横から飛んでくるシクナの能天気な物言いに苛立ちながらも、サヤ達はそのまま城を後にするのだった。
「ふう、白里までは馬を走らせても一日は掛かるな」
「そりゃ全国から人が集まってくるんだもの。当然よ」
馬に乗りながら、シクナとサヤは前を見る。後方からはクレナイとウクロも後を付けている。他にも兵士や巫女の見習い達が複数名付いてきている。
白里とは、大卑弥様と呼ばれる巫女が統治する州だ。山の神が多く住まい、精霊の加護が強く働く、神聖な土地と崇められている。
「………。」
そのまま馬を走らせ、数時間が経過する。日も暮れて夜を明けると、シクナ達は白里の土地に到着していた。
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