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未来の瞳の色が金から黒に戻った。
「彩兄」
「俺は、ケホ…大丈夫や」
彩兄はふらつきながも、タタタっと未来の元に駆けつけた。
二葉は、未来を下ろした。
未来は、しゃがみ込み駆けつけた彩兄を抱きしめた。
二葉は未来を見下ろし凝視し、奇異な目で未来を見た。
「お前は。なんだ?」
未来は聞いていない。
「彩兄。怪我は?」
「大丈夫や、油断してもーた。それより、あれ」
彩兄は、うしろを振り返り指さした。
陽一は焦燥しきった様子で立ち止まっていた。
ぽとり
と陽一の体から黒い丸が落ちた。
枯れ葉が落ちるように、ひとつ小さな妖魔は息絶えて陽一の体から落ちる。
「ようやっと薬が効いてきたようやな」
彩兄を地面に下ろし未来は胸を撫で下ろした。
陽一の皮膚から、沸騰した泡の様に妖魔が頭を出し、瘡蓋が取れるように妖魔がコロリと抜け落ちた。
胸やら腕やら足やらから、死んだ妖魔が出てきて地面に落ちた。
薬が効いた証拠だ。
良かった。間に合った。あとは妖魔がすべて陽一の体から抜け落ちれば助かる。
未来は心から安堵した。
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