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どこの会社もそうなのだが、作っている人間の年齢が上がれば上がるほど、『怒』と『哀』は必要とされなくなっていく。
人間は大人になると、泣いたり怒ったりするのがみっともないと周囲に認識されるようになるらしい。
だからマイナスの感情を担当していた俺と哀本も仕事が回されなくなって、終いには解雇されてしまった。
するとどうなるか。『喜』と『楽』だけで会社を回そうとするようになる。
だが、それでは上手くいかない。プラスの感情を担当する者しかいなければ、人間の精神は正常に保たれない。
自分を上手く表現できなくなって壊れてしまうのだ。
いつもニコニコニコニコしているだけのロボットに変わり果てる。
俺達を解雇した時の、越天楽と喜戸のような。
そのせいか、越天楽達が勤めていた会社は少し前に倒産した。
理由はマイナスの感情を担当していた社員を全員解雇したから。
この業界は入れ替わりが激しい。製造している人間の入れ替わりも。
俺達は本来なら必要とされる存在なのだが、皆そのことにあまり気づけない。
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