決意のベビードール

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 薄く透けた布の下を手が這う。恐る恐る動くのがもどかしい。でもどきどきする。目の前のあっくんはじっとボクの体を見つめ手を動かす。ちゃんとごしごし洗ってきてよかった。ちゃんと保湿クリーム塗ってて良かった。 「んっ」  ぷにっと乳首を触られた。声を出してしまって、あっくんは慌てたように顔を上げる。 「いいの!」 「でもこんな格好見てらんないし」 「脱げばいい?」 「ええと、うーんと」  いつの間にか体に挟まれたあっくんは元気を取り戻していた。右手でそれをちょんちょんと突き、あっくんの手をそのまま左手で自分の胸に誘導する。薄い布一枚では体温はそのままに伝わってくる。だけど感触はちょっとあいまいで、「あん」ってわざとらしい声が漏れた。積極的になった指が裾をめくり上げ、ぷくりと膨れた先端をこする。押して、爪の先でカリカリと引っ掻く。あっくんはさっきと同じようにボクのことをじっと見ていて、それにちょっと笑えてくる。お返しのようにあっくんに触れれば、ボクの手で更に固さを増していった。これを口に入れたんだよなぁって、さっきのことなのに現実感がない。子供の時から一緒にお風呂に入っていたし着替えなんかいくらでも見ていたから裸は珍しくもないけれど、今は少し特別に感じる。  薄く白いパンツからはみ出してしまったちんちんを見て、あっくんはそれをゆっくりと握りしめた。布ごと包み擦られてすぐにぬるぬるしてくる。ボクはつい腰を揺らしてそれに動きを合わせた。 「あっくん、ボク可愛い? 男だけど、いい?」 「いいよ。可愛い」  首の後ろに手をかけて、促すように引っ張った。あっくんはそのままボクを押し倒す。ぱちりと目が合って、それからゆっくりキスをした。二人とも経験がないから息をするのもうまくいかないし、鼻もぶつかるし、歯だってゴチンと音を立てるように痛んだ。  ぎゅうっと倒れたボクの背中に腕を通し抱きしめてくれたあっくんは、「本当にいいのかなぁ」って小さな声で不安を零す。だからボクは黙って、骨が折れるくらい強く掴まってやった。  カチカチと時計の針の音が響く。かかる熱い息が体温を上げていく。  あっくんの気が変わらないうちに、熱を導いた。痛いなんて決して口には出さず、裂けるようなミリミリとボクにだけ聞こえる音を体の底で聞いた。 「ちゅーして。ちゅーして」  その体を挟むように広げた足。漏らしそうになる悲鳴を隠すためにキスしてもらう。ずっずっと奥まで押し付けられるのを感じるけれど、それ以上に熱を感じる。あっくんのものなのか自分の体内温度なのか、それとも痛みなのかは分からない。揺れる茶色の髪をぼんやりと見た。 「もう、出そう」 「え? あ、うん」  目の前の顔は申し訳なさそうにしている。多分早いんだと思う。でもわかんない。なんせこれが初めてだし、痛いからもういいとも思っていた。 「出していいよ」 「っ……しんちゃん」  ぐっぐっと何度も押し付けられる。だからぎゅって足と手に力を入れて抱きしめる。動きと共に揺らされて、強く吐き出された息で終わりを感じた。
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