知っている私と知らない私

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「おーい、起きろー」  男とも女とも読み取れない声に耳が反応し、目が覚めた。 「あ、起きた」  男とも女とも読み取れない顔を目の前にした時、理解した。 「起きたってか、寝たですけどね」 「まあ、向こうの世界ではな」  私とそのオトコオンナが言葉を交わす。こちら側の世界にも、ほんのちょっと慣れ始めてきたが、もうすぐこの世界に顔を出すことも、現実の世界に顔を出すことも、終わる。 「じゃあ、最後にもう一度確認する。今日、お前は死ぬ。それでいいな」  オトコオンナが最後の確認をした。  今更迷いなんてない。私は、覚悟を決めて、しっかりと、短い言葉を発した。 「はい」
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