知っている私と知らない私

9/16
前へ
/16ページ
次へ
 そして、今日に至る。 「じゃあ、最後にもう一度確認する。今日、お前は死ぬ。それでいいな」 「はい」  死ぬことへの実感もわいてきたが、不思議と恐怖はない。これで楽になれるという気持ちだけが私の心の中に詰まっていた。  もう後は、流れる時間に身を任せるだけだ。臆することなどない。  死が、私を待っている。  ******
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加