血は争えないんだね

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「そういえば、スパジュエリーと温泉インフルエンサーのコラボで春の湯行くんだろ?」 「うん、そうだよ」 「俺も行きたいなー。温泉デートしたい」 おっ、温泉デート!! そ、それはいいね。 「うん! 休みが合えばいいけど……」 「連休はある?」 「うん、来週の月と火」 「お、ちょうどいいじゃん! 俺も」 「そうなのっ!? う、うれしい」 「じゃあ決まりな」 なんか、幸せだなー。次々と幸せが降ってくるみたい。 「なぁ、朱音」 「なに?」 「お父さんたちもああ言ってくれてたし、本当に結婚する?」 「へ? え? け、けっこん?」 「うん。俺はいつでもいいよ。あしたでもべつに」 「あ、あした!!」 「まあそれは冗談だけど」 くすっと笑う大地の顔はなんだかとても穏やかだ。その顔をに思わず見惚れる。 「いや?」 「いやじゃないよ、びっくりしたの……」 「考えといてよ」 「考えなくていいよ」 「え?」 大地の不安そうな顔。大丈夫だよ、そういう意味じゃない。 「私、大地と結婚したい。大地のご両親にご挨拶したら……」 「ほ、本気?」 「大地が言ったんでしょ?」 「いや、あの……」 「?」 「ごめん、ちゃんとプロポーズもう一回するから」 「うん……」 「朱音、ありがとう」 「こちらこそ、よろしくね」 つないだ手を、ぎゅっと強く握りしめる。真っ赤になった大地の顔は子どもみたいにかわいかった。
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