湯けむりを越えて

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大地のマンションに住むようになって数日。ただいまと言うのにはまだ慣れないが、大地が一緒にいてくれるだけで嬉しい。朝も夜も抱かれるので、体力の消耗が半端ないけど……。 へばっている私をよそに、大地は元気いっぱいに仕事へ出かけるから、本当にびっくりする。 「朱音が体力ないんだろ?」 「だ、だってこんな毎日したらおかしくなるよ」 「おかしくなっていいよ、俺じゃなきゃだめな体にしたい」 「……それは、もうなってます……」 夜、布団に入って毎日あったことを話すのも日課。大地は事件の後処理で、ほとんど本店に顔を出さなくなったので、ちょっとさみしいけれど、話す時間を少しだけでも作ってくれる。それがすごくうれしい。 逮捕された仁科と浅野は家宅捜索もされ、自宅から現金やらジュエリーやら色々出てきたそうで、きのう付で懲戒免職処分になった。 島田さんが急きょ店長になったが、まあ働きやすい。最初から店長だったほうがよかったんじゃないかと思うくらい。的確にアドバイスしてくれたり、困っているところにサッと人を呼んでくれるので ほんとありがたい。
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