湯けむりを越えて

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きょう、この前撮影した写真のサンプルが送られてきたそうで、金田さんに呼ばれて、会議室で見せてもらった。 「わー!! 涼香さんこれいいじゃん!!」 「いい加減にしてよ! 恥ずかしいったらないわ」 相変わらず付き合っていない長谷川くんと涼香が、写真をみて悶絶する。大地と私も写真をみて目を見張った。なんじゃこの色気だだもれの写真は……。これはさすがにまずいんじゃ……。 私たちの顔もうまく加工してあって、誰かはわからないけど、知ってる人は気がつくかなぁくらいのレベル。 「みんなすごい色気だよね……ポスターの貼り出しは2週間を予定してるから、その間我慢してよね」 金田さんはあははと笑う。いや、これほんとにすごい。サンプルの中の一枚を手にとる。 大地と掘りごたつで向き合って、ニコニコ話している写真。なんか幸せがだだもれ。 「あ、その写真ほしい? それボツになったから持ってっていいよ」 金田さんがそう言ってくれた。 「い、いいんですか?」 「もちろん、花村さんたちのおかげでいい感じに撮れたしね」 「金田さん! 僕ももらっていいですか? 涼香さんとの写真なんて初めて」 「い、一平!! だめだよ!!」 「涼香さんいいじゃん、写真くらい」 「……わ、私が全部もらう」 「えー、涼香さんだけ?」 「は、恥ずかしいよ。こんな写真、一平が持ってると思ったら心臓こわれちゃう」 かーっ!! もうなんなのこの会話。 さすがの長谷川くんも赤面している。はやくくっつけばいいのになー。
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