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「あ、肉もういいぞ」
おかわりで入れた肉に火が通ったようで、ちょうどよく松原くんが、そう声をかけた。
「うん。食べよ、食べよ」
「ビールまだ冷蔵庫にあるけど、飲む?」
買ってきたのはひと缶だったが、彼の家にあった缶ビールをもらって、計2缶を飲みほしたところだった。
「いや、もうお水にしとく。けっこういい感じになってます」
「わかった。ちょっと待って」
松原くんは、お水を取りに行ってくれた。
空きっ腹にひと缶目を入れたのがいけなかったのか、昨日の寝不足のせいなのか。けっこう酔いが回っている。お肉を頬張りながらも瞼が重たくなってきた。
「朱音? 食べながら寝るなよ、喉詰まって死ぬぞ? おーい?」
頬をペチペチされるが、なかなか瞼が上がらない。
「……うん、うん。お肉美味しい……」
「はぁ……。ほら、水」
そう背中を支えられながら、ペットボトルを渡されて、なんとか水を一口含む。
もう眠気が限界だ。
「ごめん、ちょっとだけ寝かせて……30分寝たら起きて帰るから……」
「はぁ?」
呆れたような松原くんの声を聞きながら、振り向きざまにバタンとソファに突っ伏して意識を手放した。
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