涙の代わりに花びらを

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 しかし、時として口調がキツイ明日香に不快感を感じている人間がいたことも事実なのだろう。 ある日の放課後、同じ風紀委員の千恵美が茉莉花に対しこんなことを漏らした。 「明日香ちゃんて私にだけすごく当たりが強いように感じるんだよね。私、それがちょっと辛くて…」 おっとりとしている千恵美を、明日香は事あるごとに急かしていた。しかしそれは明日香なりの、友達を想っての親切心なのだろうということは茉莉花も理解はしていた。 けれどそれにより、千恵美がこうして暗い顔をしているのもまた事実だ。 「分かった。私から明日香に上手く言っておくよ!」 「…っ!ありがとう!茉莉花ちゃん」 明日香と一番仲が良いのは私。だから大丈夫。 きちんと伝えれば明日香は分かってくれる。 茉莉花はそう信じて疑わなかった。
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