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挙句の果てに、茉莉花たちの中学はクラス替えがない。
茉莉花への無視や嫌がらせは2年生になってからも続いていた。
家に帰っても一人、相談をする相手も誰もいない。
どんどん孤独に追い込まれていく茉莉花が「死にたい」と思うのは、ある意味当然のことだろう。
書き終えた遺書を自室の机の上に置き、上着も羽織らないまま家を出た。
もちろん行き先を聞いてくれる家族なんて家にはいない。
ーーー迷いなどはなかった。
命の灯りが消えることよりも、この先いつまで続くか分からない孤独に怯える生活の方がずっとずっと茉莉花にとっては辛かったのだ。
学校に忍び込むと屋上へ続く階段を上った。
そのままズンズンと進み、縁へと足をかけたその時、
柔らかい風にのり、どこからともなく金木犀の香りが茉莉花の鼻先をかすめる。
その香りに触れた瞬間、遠い昔の記憶が茉莉花の脳裏に浮かび上がった。
そういえば、おばあちゃんが死ぬ直前、こんなことを言っていたっけ……。
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