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それからというもの、茉莉花は日々笑顔を心掛けた。
悲しいことや辛いことがあってもグッと堪え、なるべく口の端をあげるようにしていた……けれど、
ここ最近、心から笑ったことなんてあっただろうか……。
「ごめんね、おばあちゃん」
誰もいない暗闇で、ポツリとそう口にした茉莉花は、重たい瞼を静かに閉じた。そして……
きっと自分は、花びらの絨毯なんて目にすることはできないだろう。
だって……
私を想って泣く人なんて、きっとこの世には一人もいないから…。
そんな思いを抱えたまま、冷え切った体を暗い暗い宙へと葬った。
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