涙の代わりに花びらを

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ーーーやっと楽になれる。 学校の屋上。その(へり)に立ち、岸本 茉莉花(きしもとまりか)眼下(がんか)を見据えた。 …暗くて何も見えない。そのおかげか、不思議と恐怖は感じない。 やっぱり昼のうちに職員室から屋上の鍵を盗んでおいて正解だったな。 そんなことを考えつつ、茉莉花は両手を広げ鼻からすぅっと息を吸いこんだ。 季節は秋にさしかかったばかり。ツンとした冷たい空気が喉の奥まで到達するのと同時に、茉莉花は首だけを上に持ち上げた。 するとそこには、無数の星が泣きたくなるほどの輝きを放っている。 あぁ…。どうしてこんなことになってしまったんだろう。 込み上げてくる(しずく)がこぼれ落ちないよう、茉莉花はその潤んだ瞳をギュッと、固く瞑った。
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