13人が本棚に入れています
本棚に追加
この手紙は間違えである、とそう思い込んで教室に向かおうとした。ドアを開けようと手を伸ばした時、まだ触れていないドアが開いた。
「ここにいたんだね。上山くん」
目の前に現れた彼女、片瀬さんはやんわり笑って僕の方に近づいてきた。彼女の匂いが僕を包み込む。
「手紙、読んだ?」
ドアを閉めながらそう言った。
「よ、読んだよ」
「じゃあ話は簡単。殺して」
くるっと振り返って見えた彼女の顔は笑顔だった。僕は口元に力が入る。
「嫌、だ」
気がつけばそう言葉を落としていた。
最初のコメントを投稿しよう!