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その男、もっとも~っと変態につき!
最初の一押しには大きな力が必要だが、あとはまるでドミノが倒れるように、勝手に物事は変化していくものだ。
この世界にとっても同じことで、天使が人の世界に馴染むまで、そう時間はかからなかった。
「さーて、今日もハレンチ日和だね!観月くん!」
「ユーちゃーん・・・。毎度のことだから、それはさすがにもう慣れたけどさぁ、たまには普通に街を見て回ることしない?ナンパばっかりしてないでさぁ。」
「はは・・・!さすがに、可愛い奥さんたちがこんなに集まってくれたんだ。ナンパばかりしてられないよ。もっと、未来を考えないとね!」
「おぉっ!?ついにユーちゃんが、真っ当な道を歩んでくれる日が来たんだね!嬉しいよ!私、嬉しいよぉー!」
「ふふ!」
ディケーナに帰ってきた俺たちは、領主ワルフォイ様に挨拶を済ませ、溜まっているだろう依頼をこなすためにギルドへ向かうことにした。
途中で女の子たちを見かけたが、皆前ほど、素っ気ない反応はなく、声をかけたり手を振ると、笑顔で手を振り返してくれる。
おー。なんか、好感度がグン!と上がってる気がするぞ。
やっぱり、天使の一件で王様から功労者として表彰され、爵位を貰ったことが大きいようだ。
爵位は【 男爵 】。
一番下位にあたる爵位だが、ある程度はワガママが通る爵位になっている。
もちろん、お世話になっているワルフォイ様よりも下だ。
ワルフォイ様は領主。つまり、【 伯爵 】だからね。
今では噂が大陸中に広まり、俺は皆からこれからを期待される男となったわけだ。
成り上がりなんて絶対、嫌だけどね!目立つから!
この世界の何処かにいるという女神様を見つけ出し、苦しみから救い出す。それが、この世界に来た目的なんだ。
お姉さんアスミお姉さんのお願いだからね、頑張るぞ!
「というわけで、ハレンチしに行こう!世界中の女の子を褒めたたえて、自信に満ち溢れた日々を送って貰おう!よーし!今日も女の子を幸せにするぞぉー!おー!」
「ユーちゃん・・・がっかりだよ。私、がっかりだよ・・・。」
リライア ▷目立ちたくないって、何なんでしょう。もう、思いっきり目立ちにいってる気がしますけど。
魅玖▶︎むしろ、爵位まで貰って世界に名が広まっている時点で、女神様も気付いている気がしますけどね・・・。
「そうとも限らないぞ?俺と観月はこの世界にとって突如、現れた異物ではあるが、“目的”のことは知られてないんだ。単に迷い込んだ雑魚としか思われてない可能性が高い。現に、アチラさんから接触は未だないしね。」
「もしかしたら、接触しないように逃げ回ってる可能性もあるよ?」
「それもある。だから、今は世界中の女の子を助けるうちに女神様に当たれば万々歳って状況だ。だけど、一つ手がかりがあると言えばあるんだなー。」
「え?それって?」
「〈神託〉だよ。勇者ミラウェイドと今はリンクが切れてる元大司教シモン、この2人なら、何か知ってるんじゃないかってね。」
「あぁ!そうか、二人とも女神様とお話してるんだよね!」
「そうそう。」
世界の大まかな流れをより良い未来に誘導するために、女神は人々に力を与えて声をかけている。
神様が女神様に教えた基本的な世界のシステムらしいので、この世界の女神様も同じようにシステムを利用しているはずだ。
「居場所、教えてくんないかなー。」
▷まぁ、十中八九無理でしょうね。
「だよなー。」
そんなすんなりと見つかるなら、神様も見つけてると思う。神様も見つけられないとなると、何か事件に巻き込まれたと考える方がしっくりきた。
「囚われの女神様かぁ。だとしたら、そりゃ、救い出すしかないっしょ!そして、あわよくば、女神様とハレンチパーティするのだァ~~!グハハハ・・・!」
「魔王出てるって・・・。でも、本当・・・どこいるんだろう。女神様・・・。」
「さぁ、なぁー・・・。」
皆で天使の飛んでいる空を見上げると、青と白のハイライトに目を細めながら息を吐く・・・。
「まぁ、でもその旅の途中で、確かに幸せにできる人々もいるんだ。女神様には悪いけど、みんなが少しでも幸せになれるように、ゆっくり行こう。」
「そうだね。うん。よし!私も頑張るよ!ユーちゃんとずっと側に居たいからね!」
▷私も、お手伝いしますよマスター。
▶︎私も!私も!どんどん、頼ってくださいね!
「もちろん!みんなで頑張ろうな!」
おー!っと拳を天に突き上げ、皆で決起の声を挙げる!
今日も晴天!ハレンチ日和!
明るい未来のために、サカエファミリーは今日一日頑張ります!
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