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宣言通り、街中の女の子の容姿や声を褒めまくりながら、ついでに極端に自信なさげな子にはハレンチ行為をお見舞いしながらギルドへ到着。
「こんにちはー!サカエさん!って・・・ど、どうしたんですか?その姿は?モンスターと一戦交えて来たみたいになってますけど。」
「あ、ひゃい。だいりょうぶれふ・・・。」
「全然、大丈夫に見えませんが・・・。」
受付嬢のナターシャしゃんは今日も笑顔で出迎えてくれたが、俺のボロボロの姿を見た瞬間に一気に青ざめると心配そうに声をかけてくれた。
めっちゃくちゃ、心配してくれるじゃん。
ようやく、ナターシャしゃんも俺のハーレムに加わる気になってくれたのだろうか。
お兄さん、嬉しいなぁー!
それにしても、顔も身体もすごく痛いんですけど・・・大丈夫?本当に俺、大丈夫?
ナターシャしゃんが差し出してくれた手鏡を借りると、自分の顔を見る。
「全然、大丈夫じゃねえぇぇー!!?何だこの顔!キングコンゴ*と三日三晩闘った後みたいな顔は!」
*〈 キングコンゴ 〉 森林地帯に住むゴリラ型モンスター。サングラスに厳つい首の鎖とアロハシャツを好んで身に付ける。見た目は、まんま、ゴロツキ。性欲が強く、よく人間の女性を攫っては交配を望む。ただ、プロポーズの方法は意外とロマンチックで紳士的。最近ギルドでは、サカエとの関係性を真剣に疑われている。
「ふん!ユーちゃんが悪いんだからね!色んな女の子にちょっかいかけて!私やみんながいるんだから、女の子に声かける必要ないでしょ!?」
「ダメだ!お前やみんなのことは誰よりも大事だけど、世界の女の子だって大事にしたいんだ!俺はみんなを幸せにしたい!俺の手で!」
「それを浮気っていうんだよぉー!少しくらいは悪びれてみせろよ、バカスケベ!うぅ~・・・!うわあぁ〜ん!!」
ードカーーン!!
強烈な観月の右パンチが炸裂!
俺は吹っ飛ばされ、軽々と宙を舞った。
「っ・・・かはっ!(コイツ・・・腕上げてやがる・・・。)」
「あぁ、いつもの事ですね。安心しました。」
理由がわかった途端のこの塩対応。
うーーん!ちゅてき♡
「ところで、今日は?」
「あてて・・・。えーっと、そうそう。溜まった依頼と、あと王様からの正式な依頼が来てないかなっと。」
「えぇ。サカエさん宛に沢山の依頼が来てますよ。王様の依頼も確かにお預かりしてます。」
痛む腹を押さえて戻ってきた俺に、ナターシャしゃんが何通もの手紙と一緒に、丸められた依頼書を手渡してくる。
少し王都に行ってる間に随分と溜まったな・・・。
「結構あるね・・・。」
「サカエさんの名前が広まった証拠ですね。あと、気になるのが、これ。実は領土外になるんですが、〈エルフの里〉と〈ドワーフの里〉から招待状が届いています。天使の件で、尽力したサカエさんにお話をお聞きしたいとの事です。もし訪れるようでしたら、順番はエルフの方を先に行かれた方がいいと思いますよ。順番とか気にする、少し気難しい人が多いもので。」
「 エルフとドワーフの里から・・・そうか・・・。って、エルフウウゥッ!!? 」
俺は絶叫を挙げると、飛び上がるように驚く。(実際飛んだ。)
「キタキタキターーーーー!!エルフちゃんからのお誘いだあぁーーー!」
何度も何度も招待状にキスの雨を降らせると、ダンスを踊るようにその場でクルクルと回転する。
俺の浮かれ具合に、周りの女性陣はもとよりギルメンたちもドン引きである。
「そ、そんな嬉しいの?エルフさんって、どんな人?」
「エルフは耳長族の総称ですね。とても、長寿で博識で知られます。精霊と相性がいいため、魔法を得意としているそうですよ。見た目は皆さん、美男美女が多く、人間とはとても友好的です。ただ、天使族とは仲がそれほど良くないとか。」
「美男美女・・・。ユーちゃんのためにあるような種族だね。しかも、友好的って・・・。」
「そうですね。一見すると、そうかもしれません。ですが・・・。」
ふふふ・・・と含み笑うと、ナターシャしゃんは書類を挟んだバインダーから一枚を抜き取ると、俺たちへと差し出した・・・。
「え・・・?あ、あぁ~なるほどねー。」
その紙を見て、観月はナターシャしゃんと同じように含み笑う。対して、俺はといえば・・・。
「う、嘘だァァァーーー・・・!!!」
この世の終わりのような絶叫をあげるのだった・・・。
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