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少し抱き合っていると、周りの冷やかしの声が聞こえてきた。気恥ずかしくなり、慌てて離れて周りを見渡す。
「しまった・・・。また、周りが見えてなかったな・・・。」
「えへへ!私もユーちゃんのことになると周りが見えなくなるよ。一緒だねー・・・なんて///」
「くぅっ!あぁもう!可愛いなぁ~コイツ~!」
あまりに可愛い笑顔に、堪らず抱きしめると、頭の上で羽ばたきが聞こえる。
顔をあげると、そこには見知った顔の女の子が空から降りて来ていた。
「はぁ~!やっと、見つけた~!観月ぃ~!サカエ殿ぉ~!」
ー バサッ!バサッ!
「噂をすればってヤツか?」
「ふふ・・・!だねー。」
二人で苦笑を浮かべつつ身を離して、手を繋ぎ合うと熾天使リッツフェル(本名:ルシファー)がゆっくりと舞い降りてくる。
「よっと!」
「もー、どこ行ってたんだよ。集合場所に来ないから先に依頼、取ってきちゃったぞ?」
「はは!めんごめんご。集合場所には先に来てたんだけどね?少し早く着いたから待ってようとしたんだけど、この街ってなんかすごくない?王都に比べて三倍くらいナンパされちゃったんだけど。」
「まぁ、王都よりはそこら辺、緩いからね。で?ナンパされてて、遅くなったってこと?」
「いやいや、集合時間まで別のところで身を隠そうとしたら、諦めの悪い子がみんなで追いかけてきてねー。今の今まで逃げ回ってたんだよ。 いやー、怖かったー。」
確かに、通り一本向こうでは何やら男たちの声が聞こえる。
ルーシーを探し求める声が未だに聞こえていた。
もう少ししたら、こっちに来そうだな。
「まったく・・・。仕方ない、場所変えるか。」
「サンセー!」
「お前、目立つからこのローブ着てろ。」
「準備いいねー。」
ルーシーにローブを手渡すと、俺たちは人混みに紛れるように、宿へと向かった・・・。
「ただいまー。シルクー、ハヤー、帰ったぞー。」
「うぅ~!」
「おかえりなさい、旦那様。」
部屋に戻ると、入ってき倒れの腰にシルクが飛びついてくる。
部屋の椅子に腰を下ろしたハヤーは、テーブルに用意されたグラスを片付けながら俺たちを出迎えた。
魔法の練習は進んでいるみたいだな。
「依頼を受けてきたよ。作戦会議をするから、席についてー。」
「うぅー・・・!」
シルクと観月、ハヤーとルーシー。
そして、俺は長テーブルに資料を広げるとソファーに腰を下ろし作戦会議を始めた。
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