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「最近、花音さんが過保護すぎる気がするんです」
田邊咲は『喫茶カノン』のカウンターにてこの店の店主・山本悠太にぼやく。
「花音さんが、ですか?」
悠太はキョトンとしながら、カフェラテを咲の前に置いた。
「あ、可愛い」
咲は目の前に置かれたカフェラテを見て、頬を緩めた。
カフェラテには、先日、咲が伝授したハリネズミのカフェアートが描かれていた。下絵をくり抜いた紙にココアを振りかけ、描く方法だ。
そうでしょ、と悠太はホクホク顔でうなずいた。
「昨日、ようやくSNSにアップすることができたんです」と笑顔で告げる。
それから、「まぁ、まだ全然、反応がないんですけどね」としょんぼりと肩を落とした。
「そんなすぐ成果があるわけないだろ」
咲の後ろの、二人掛け席に座っていた男が呆れた声を上げる。
このビル──華村ビル三階の住人・瀧川凛太郎である。
悠太にSNSを使った宣伝方法を勧め、カフェアートを勧めた張本人だ。
「こういうものは、ゆっくり時間をかけて、ジワジワ浸透させていくものなんだ」と曰う。
そういうものなんですか、と悠太は素直にうなずいた。
「で?」と凛太郎は、コーヒーを一口啜り、咲に視線を移した。
「あんたは花音に迷惑していると?」
意地悪な笑いを浮かべる。
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