念願のチャンピョンリングを手に入れられるぞ!

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「プツン」  俺は家のテレビを消した。ガラハーゲズが優勝できたのだし、これ以上、現地の様子をテレビで確認したくはない。――だって、俺はそこにはいないのだから。優勝トロフィー授与式やシャンパンファイトまで見届けたら、精神的にしんどすぎる……。  何故、俺はガラハーゲズの優勝を自宅で見届ける羽目になってしまったのだろうか。何故、あの日、俺はちょっとした我慢ができなかったのだろうか。――自己嫌悪で一杯だ。  全ての原因は、八月初めの当番日だった。この日、自慢の制球力が鳴りを潜め、俺は初回ももたずにノックアウトされた。それで、どうしようもなくムシャクシャしていたのだろう。家に帰ると、恋人のベニーとちょっとした口論になってしまった。その際に、ついカッとなって、恋人に手を出してしまった。おかげで、恋人から警察に通報されて、俺は逮捕されてしまったのだ。そして、制限リストに入れられたまま、俺の今シーズンは終了した。  こうなった以上、俺としては来年、何とか巻き返しをはかりたいところ……だが、この国では無理そうだ。何故なら、俺が起こした大きなトラブルは、今回が初めてではないのだ。過去に違うチームでチームメイトへの暴力行為が一度、飲酒運転で逮捕が二度ある。そして、今回の一件だ。今オフ、FAの俺にオファーをくれるプロチームは、最早この国には存在しないだろう。  だが、捨てる神もあれば拾う神もあるのだ。日本のある球団が、俺を獲得したいと秘密裏で接触してきたのだ。そのオファーに俺は快く二つ返事をした。元々、俺は日本が好きでよく旅行に行ったりしているし、何時かはそこでプレーしてみたいとは思っていた。――まさか、こんな早くなるとは思わなかったけど。  まあ、二年前に最多勝のタイトルもとったし、今年で念願のチャンピョンリングを俺は手にすることができる。この国の野球リーグで大きなやり残しはない。――国内優勝決定戦に出場できなかったのは、ちょっと残念だけど。でも、殿堂入りする選手だって、国内優勝決定戦未経験の人は多い。そんな人と比べて、未経験でもチャンピョンリングを持らえる分だけ、俺は恵まれている。  さあ、来年は心を入れ換えて、プレーヤーとして大暴れしてやるぞ。首を洗って待っていろよ、日本球界よ。  ――一年後、日本球界において、彼は伝説の選手となった。神のお告げで突然引退表明し、帰国前に浅草観光をした伝説のダメ助っ人選手として――
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