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九回裏、ツーアウトまで来た。後ワンアウトで、俺達ガラハーゲズの優勝だ。だが、状況は満塁の大ピンチ。しかも、打席に入っているのは、相手チームの四番で今年のレギュラーシーズンMVP最有力候補のへレーロ。点差は一点差、カウントはフルカウント。へレーロを四球で歩かせるわけにもいかない。最早、俺には祈ることしかできない。頼むぞ、何とか抑えてくれ。
「カキーン」
へレーロがレフト方向に大飛球を打ち上げた。――まずい……切れろ、切れろ……ファウル。ふう、助かった。
大飛球がファウルになって、マウンドにあがっているチャッカマンもホッとした表情をしているな。――おい、しっかりしろよ。レギュラーシーズンのお前を思い出せ。俺が先発した試合、何時もお前は完璧に試合を閉めてくれたじゃないか。大丈夫、いけるさ、お前なら。
チャッカマンはキャッチャーのサインに大きく頷き、投球動作に入った。――さあ、見せてくれ。お前の最高最強の百マイル超のストレートを。
チャッカマンは球を投げた。――ここでフォーク⁉️ いや、でも、へレーロは空振りしたぞ。ということは三振……。
「よっしゃあ!」
遂に俺達、ガラハーゲズの優勝だ。最後のアウトを取ったとほぼ同時に、皆がマウンドに駆け寄り、喜びを分かち合っている。ブレッチャー、ヘンドン、ドナルド、チャッカマン、お前らは本当によくチームを引っ張ってくれたよな。お疲れ様。
これで俺も念願のチャンピョンリング所持者だ。
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