1人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
徐ろに椅子に座り、私は近くにある棚を見つめた
棚には小説やエッセイ、啓発本など、様々な本が並んでいる
寝る前に読み耽るつもりで置かれていたのだろう
見たところまっさらで読まれた形跡は無さそうだが
ん…?
だがその中に一冊だけ、何度も読み込まれたようなボロボロの本があった
自然と、ふらりと、私はその本を手に取った。
ーーーそれは、小説でもエッセイでも啓発本でもなく
誰かが遺したような手記だった
表紙には英語でタイトルが綴られている
liv……side…
字が途切れて読めないが、リバーサイドと書かれているのか
もしこの場所をそう称しているとしたら可笑しいな
リバーサイドと書きたいなら、綴りはRからだ
そしてこの場所はどう見ても湖。川ではない
レイクサイドの方が良くないか?
語感がいいからそう書いただけか…
まあ、然程気にすることでもないか
考えるのをやめ、私は手記を読み始めた
《ーーー1977年 某日
私は余りに多くを手にしすぎた。そしてそれが私にとって枷になるということも気付いている
だが移り気な私は自らを止めることはできない。これで6人目だ…だが一人たりとも遊びで付き合っているわけではない。私は6人全てに等しく愛と時間を注いでいる。罪悪感はない。ただ愛する者が人より多いだけなのだから…》
…なんだ…これはもしかして…楠木誠吾が書いたのか?
6人の人物と不倫していたということか…
となると、やはりここでその愛人全てを囲っていたのか
馬鹿げた予想が当たってしまったな…
呆れながら溜め息をつき、私は手記を読み進める
最初のコメントを投稿しよう!