湖畔の家

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徐ろに椅子に座り、私は近くにある棚を見つめた 棚には小説やエッセイ、啓発本など、様々な本が並んでいる 寝る前に読み耽るつもりで置かれていたのだろう 見たところまっさらで読まれた形跡は無さそうだが ん…? だがその中に一冊だけ、何度も読み込まれたようなボロボロの本があった 自然と、ふらりと、私はその本を手に取った。 ーーーそれは、小説でもエッセイでも啓発本でもなく 誰かが遺したような手記だった 表紙には英語でタイトルが綴られている liv……side… 字が途切れて読めないが、リバーサイドと書かれているのか もしこの場所をそう称しているとしたら可笑しいな リバーサイドと書きたいなら、綴りはRからだ そしてこの場所はどう見ても湖。川ではない レイクサイドの方が良くないか? 語感がいいからそう書いただけか… まあ、然程気にすることでもないか 考えるのをやめ、私は手記を読み始めた 《ーーー1977年 某日 私は余りに多くを手にしすぎた。そしてそれが私にとって枷になるということも気付いている だが移り気な私は自らを止めることはできない。これで6人目だ…だが一人たりとも遊びで付き合っているわけではない。私は6人全てに等しく愛と時間を注いでいる。罪悪感はない。ただ愛する者が人より多いだけなのだから…》 …なんだ…これはもしかして…楠木誠吾が書いたのか? 6人の人物と不倫していたということか… となると、やはりここでその愛人全てを囲っていたのか 馬鹿げた予想が当たってしまったな… 呆れながら溜め息をつき、私は手記を読み進める
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