湖畔の家

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《ーー2000年 某日 遂にその日が来てしまった… 愛する妻の一人が身籠った。彼女は私に育てることを望みはしない。私の重荷になるようなことは決して望まないのだ… だが私は彼女に育てろなどという無責任なことは言わない。 責任を持って、その子を育てることに決めた たが、悲しい事に、この子を明るみにすることは出来ない。 だから私はこの家を建てた 決して誰にも見つかることのないこの家を… ここで妻と、愛する我が子と…仲睦まじく余生を過ごせればと思う》 …この男が楠木誠吾なのか他の誰かかはわからないが、著しく何かが欠如しているということだけはわかる 《ーーー2003年 某日 2人目の妻が子を成した。彼女の子もまた、ひっそりとこの場所で共に暮らせたらと思う 多少の不満は生まれるだろうが仕方がない 愛する者達全てと共に暮らすのが私の目標であり、夢の一つなのだから》 …随分とまあ、独りよがりな男だ。 人の気持ちを度外視しているのがよくわかる。 字面にしてこんなにも愛を感じない愛という言葉があるとはな…ーー
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