湖畔の家

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《ーーー2004年 某日 また別の妻に子供が出来た。今度は2人同時にだ。 彼女達にもこの家で暮らすことを望んだら快く了承してくれた 他の2人の妻も喜んでくれ、穏やかに暮らしていけそうだ これでやっと、私のもう一つの夢に近づいた…》 …もう一つの夢…?? 村を築いて村長にでもなるつもりだったか いずれにせよ、ろくな夢では無さそうだが 《ーーー2005年 某日 また1人子供が増えたが、喜ばしい話ばかりではない。 近頃、不穏な空気が漂っている 穏やかに暮らしていると思っていたが、知らず知らずのうちに彼女達の中で不満が募っていたようだ 私は全ての者に、等しく、分け隔てなく愛を注いできたつもりだが それでもやはり、懸念していた通り不満は生まれてしまった こればかりは彼女達が何とかするしかないのだ 感情に折り合いをつける必要がある。下らない嫉妬心や独占欲など捨てなければならない 人と人は繋がりの中でこそ生きていけるのだ…それ無くして悦びなど生まれはしないのだから…》 …呆れて口が塞がらんな。欠落しているというよりは、もしかするとこいつは脳みそが無いのかもしれん。 だが、何か大層な思想を抱いているのもみてとれる とても愛と呼べる代物ではない何かを、この男は信じている その正体が私には分からないせいでどうにも気持ちが悪いが… 根差すものがあるのは間違いないようだ 恐らくは…脳内で組み上げた幸せの理想 それが正しいと思い込んでいる。一つのズレもなく、それが全てだとーーー
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