湖畔の家

7/14

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
《ーーー2007年 某日 最後の1人にも子供が出来た。これで全員が子持ちとなり、漸く平等になった この公平性を損なわぬように、私は彼女達に2人目の子を成す事は許さなかった せっかくとれた均整を崩すような真似は避けなければならないからだ。 妻同士の諍いは日々激しさを増すが、第一子はもう7歳になり、日に日に知能をつけていっている。 まるで昔の私を見ているようだ。血は争えないと言えるだろう さあ、もう一歩だ。夢の姿はもう見えている…私が望む理想はすぐ傍まで来ている…》 2007年… ーーーそういう…ことか… 私はページを捲る手を止めた 今、理解してしまった。何故私がここに来たのか。 何故男は私に電話をかけてきたのか… 私だからこそ、電話をかけてきたのだ。 …面白い ならばそれに応えなければならない。 突き進むしかないのだろう それが私に課せられた使命だというならばーーー そしてまた次のページを捲ると、そこから何故か文字が殴り書きのようになっていた なんとか読む事はできるが… 急いでいたのか、何かがあったのか… 《2014年ーーー 某日 私ではもう 彼女達の憎悪を取り払う事は出来ない 何故こうなった…どこで間違えた 私の夢が叶うまでもう少しだというのに 私はどうすればいい ここからどうすれば、再び元のレールに戻すことができるのだ… 時間がない…時間が惜しい このままではあまりに、志半ばだ… 過ぎた理想だったのか… せめてあの子達だけでも、無事に…幸せに暮らしてほしいと思う そうすればまだ夢は…潰えずに済むかもしれないーー》
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加