湖畔の家

9/14

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
ーーー 扉を開いた先にはまた階段があった 階段は螺旋を描き、かれこれ数分は降り続けているが一向に下に辿り着かない 一体どこまで深く造られてあるのか… それから更に数分降り続け 漸く、螺旋階段に終わりが見えた 「終着か」 階段の終わりに待ち受けていたのは、また扉だった その扉を見た途端恐ろしく嫌な予感がした 「まあそういうことだろうな」 わざわざ二重に入り口を設けるということは 足を踏み入れたが最後、屋敷にはもう戻れないということだろう まあここまで来て引き返すのは、費用対効果が悪すぎる 開く一択だ 2秒ほど迷ったが、私は重い扉を押し開けた 足を踏み入れた瞬間… 景色は変わったーー 「……く…クク…来た甲斐があったようだ」 広がっていたのは、学校の体育館よりも広い、明るい空間だった 「一体どれだけの財があれば、こんなところを造れるんだ」 ちらほらと巨大な建物も建っている 少しだけ歩を進め、辺りを散策してみると 扉を出て数メートル歩いた地点にだだっ広い空間があり、その広い空間の左右に10階建のマンションほどの建物が建っている そして前と後ろ両方に扉が見える 扉の位置はどちらもここから40メートルほどは離れている ざっと見て、縦は80メートル、横は建物でよく測れないが40メートル程の距離だった 長方形の形をしたその空間の天井は20メートル程であり、天井を2本の大きなダクトが走っている 色々見て回りたいが、何が出てくるか分からない 建物に入るのはまだやめておいた方がいいか… 先に別の空間を見て回った方がいいかも知れない… 前が後ろかーーーどちらにすべきかーー 「珍しいねえ。客人??」 「!!!」 悪寒が全身を駆け巡り、慌てて私は飛び退いた 背後から突然響いた声に、鼓動が一瞬にして速くなる 「ハハっ、ビビりすぎでしょ。こんなところに来るくせに」 「…いきなり来てすまないね。ここの住人かな?」 「そうだよ。俺の名前は【結(ムスビ)】 よろしくね。あんたは?」 「はじめまして、私は天羽という。よろしく」 出来るだけ友好的に、朗らかに 最大限の警戒をしながら 私は彼、ムスビと挨拶を交わした
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加