湖畔の家

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赤い長髪を後ろで縛り、胸元に小さなタトゥーの入った彼は、人当たりの良さそうな優しい目つきをしていた 「幾つか質問してもいいかな」 「こんな場所で?とりあえずうちに来なよ。お茶くらい出すよ。何せ久しぶりの客人だからさ」 「あんたはどうみてもソレっぽくないしね」 …どういう意味だ? 「せっかくの申し出だが…ここでは駄目かな」 私の目を見て何かを察したのか、ニッコリと笑みながら彼が返す 「そんなに警戒すんなよ。殺したりしないから。純粋にただ話したいだけ」 ーーやはり、普通の感覚とは少し逸しているな。 日常会話的に殺すという言葉が出てくるあたり彼の中では殺人はなんや珍しくない当たり前の行為なのだろう 信じるべきかどうか決め倦ねる私を見て 痺れを切らすように彼は私の腕を引っ張った 「まあいいから来なって!面倒くさいなあ!」 「ちょ…!」 強引な子だな… まあだが殺すつもりならさっき背後にいる時点で殺せてただろう この無垢さは危ういが、本当に人に飢えてたみたいだな 引きずられて建物の中に入ると、中は壁、家具全てが白を基調にしていた 椅子に机、食器棚、その中の食器のどれもが真っ白だ。 違うのは業務用よりも大きい、巨大な冷蔵庫と テーブルの上に置かれたパソコンだけだった ……パソコン?? 「まあここに座ってよ」 「ここってネットは繋がってるのか?!」 「普通に繋がってるよ」 …思わぬ朗報だ。ネット環境が生きているなら、外部との通信が出来る。 外から誰かに入ってきた扉を開けてもらえば出られるということか 「少し触らせてもらっていいかな?」 「いいけどさあ。ちょっとは話しようぜえー」 「ごめんごめん。少しだけね」 机に置かれたパソコンに向かいながら、私は結に謝った そしてパソコンの電源を入れた ……?? 「なあ…これって」 「ハハ、ごめん、多分それ俺らしか触れない。俺ら以外が触っても動かないんだ」 ーーなんだそのクソみたいな設定は! 「外と連絡出来るとか期待した?」 「君に触ってもらうというお願いは…」 「残念だけどそれは難しいね」 「何故?」 「うーん…まあまずは話そうよ。そしたらわかるから」 「………。」 溜め息を吐きながら、私は彼の前に座った
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