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「あ、あとどうでもいい話だけど、殺しの趣向はそれぞれにあるかな」
「…趣向?」
「趣向っていうか…正しくは流儀?俺も含めて、自分が良しとする殺し方以外はしない」
「殺しの流儀か……美学ともいうべきなんだろうが、感心はできないな」
「そりゃそうだろね。んで、俺たちが出る方法なんだけど」
結は親切にも紙とペンを取り出し、ここの平面図を書いてくれた。
「ここが俺たちがいる位置ね」
この場所は、上から見ると6つの区画に分かれていて、その一番上に位置する地点には小さな部屋がある
真ん中は円筒のようなものがあり、それを取り巻く形で螺旋階段が続いている。
螺旋階段の出口が、結がいるこの区画に続いていたらしい
時計で示すならここは2時から4時の位置。小さな部屋があるのは12時の位置だ
「この一個だけ小さいエリア、ここが出口。そのほかは全部他の奴らの居住区だ」
「なるほど。全員殺したらこの小さい部屋から脱出できるというわけだ」
「そうなんだけど、出る為に必要なもんがある」
「必要なものとは」
「俺たちそれぞれに『父さんが遺したもの』。それを6つ揃えるのがここを出る為の鍵だ」
「…ん?それが鍵なら殺し合う必要はないんじゃないか?」
鍵を集めることがここを出る方法なら、平和的に解決できる可能性があるということだ。
だが…
「そんな甘くはないんだよねこれが」
やはりか…
「どうやらその遺したもんは…俺たちの腹ん中にあるらしいよ」
「どういう意味だ…?」
「執事のおっさんがそう言ってたんだよ。意味はわかんね。でも、殺して掻っ捌けって事だろうねえ、お互いの腹を」
「悪趣味だな」
だが殺し合わせるのが目的ならば、そうするのが一番手っ取り早いか
それとは別に違う意図を感じないこともないが……
「てなわけでさっきあもーさんが言ってた俺らが協力して助けを呼ぶって話に戻るんだけどさ
俺たちは正規のやり方以外でこっから出た場合、自殺しちゃうらしい」
「なんだそれ……」
思わず声に出してしまった
馬鹿馬鹿しいにも程がある。暗示にでもかけられているということか…
「嘘みたいな話だけど、多分嘘じゃない。現に俺たちはそういう風にインプットされてる時が何回かあったから」
結の顔を見るに、彼は真剣だった。恐らく嘘や冗談を言ってるわけではなさそうだーーー
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