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「さーて、晴れてバカも仲間になったことだし、次の区画に行くとしよっか」
「殺すぞ」
「いや」
「え?行かないの?」
「なんだ、頭が痛えとか言い出す気かあ?」
それは当たり前だろう…
持っていたハンカチで頭部を押さえているが、やはり血は少しずつ出てきているようだ
ガンガンと響く頭痛をなんとか堪えながら、私は二人に提案した
「一先ず、この区画を見て回ってもいいかな」
「は?」
「なんで?」
結の時はスルーしていたが、もしかするとこの居住区にも存在するかもしれない
楠木誠吾との思い出にまつわる何かが
ひいては、彼の夢の正体に繋がる可能性がある
「君の父はこの場所にも足を運んだことがあるのか?」
「ああ?そりゃそうだろ。それがどうした」
「いや、君達がどんな生活をしていたのか知ることがもしかするとここから出る糸口になるかもしれない」
「俺たちん中に鍵があんのにそんなもん関係ねえだろうが」
「本当にバカだねお前。さっきあもーさんが言ってたじゃん、スペアがあるって」
「そう。スペアキーが存在するとしたら、ここも調べといて損はない」
尤も、私の目的はまた別だが
「…好きにしろや」
「ありがとう。早速なんだが、この部屋にあるトラップを解除してもらってもいいかな?このままでは何かと不便そうだ」
「そりゃ無理だな。解けるように作ってねえ」
「バカすぎだろ」
…いや、本当にな
「床を見てみろや」
私は繋に言われた通りに床に目を向けた
コンクリートの床には、正方形を模るように線が入っている
「縁に円が書いてある床がトラップだ」
「なるほど」
そう言いながらも私はその言葉が本当か、足だけを乗せて恐る恐る調べた
「嘘ついてると思ってんのかてめえ」
「いやそういうわけでは…」
「てめえごときいつでも殺せるのに嘘ついてどうするんだ」
それはそうだが、そういう殺し方に趣向がある人間だというセンもある
何せなかなかの殺しの趣味の悪さだからな
「で、どこ見るの」
「とりあえず繋君が住んでる場所を調べてみたい」
「…好きにしろや」
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