穏やかな朝 天羽家

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ーーーしかし そのままにしておくのも気持ちが悪い 私の悪い癖が出てしまう この身体を蝕む悪癖 「好奇心」という名の毒が、いとも容易く決意を揺らがすのだ 煙草を灰皿に押し付けて、私は外に出てペールの蓋を開けた 「…嘘だろ」 男の話した通り、ペールの中には黒い紙袋が入っていた そしてその中身を出して更に驚かされる 「冗談にしても笑えないぞこれは」 その中には大量の書類が入っていた 権利書や固定資産税の書類等、不動産売買に必須な書類が一式入っていたのだ こんなもん捨てろったって…簡単に捨てられるか! リダイヤルで男に再び電話を掛けるが、男は出なかった 「いい加減にしてくれよ…」 これならいつもの五月蝿い常連からの電話の方が百倍はマシだ 一応、中身に目を通す …これ以上ないと思っていたが… 更に度肝を抜かされるとは… ーーその登記に記された名義人は 日本人では知らない者の方が少ないくらいの大物 楠木誠吾だったーーーーー
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