私という魅力のない存在

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私という魅力のない存在

朝目を覚ます。 昨日のことを思い出す。 あ、そういえば翔さんから返事来てるかな。 アプリを開いてみると、翔から新着メッセ一ジが早朝に届いていた。 「家ちゃんと着いた?」 あ、やっべ。そういえばそう言う約束したかも。あれご挨拶じゃなかったんだ。 本当に連絡待っててくれたんだ。 「すみません、連絡遅れてなくて。忘れてました!無事昨日真っ直ぐ家に帰ってます!」 すぐに返事を送った。 すると1分と間をあけず、「心配してたよ。ちゃんと連絡くださいって言ったでしょ!」 と返信がきた。 あ、紳士な人だな。何だか大切にされているように感じる。 それがすごく心地よかった。 「昨日ありがとうございました。また飲んでください」 「こちらこそありがとうございました。ぜひ」 「お仕事頑張ってください」 この数分のやりとりで翔から返信は来なくなった。 仕事なんだろうな。 私も仕事に向かう。 職場までは1時間半かかる。 条件の良さで私立学校に就職した。 就職したと言っても実は契約教員であり、期限は5年までなのだ。 それ以降も勤めたい場合は、1年でも良いので一回辞める必要が出てくる。 正規採用にもしてもらえる可能性もゼロではない。 ただ今の校長が2年前から変わってかなりの偏屈な人になった。 その人が自分の気に入っている人以外は正規採用にはしないつもりらしい。 ヨイショヨイショができず、仕事ができるわけではない私は必要のない存在。 今の学校は2校目。元々は今の自宅の近くにあったが、条件の良い今の学校に変えた。 はじめの頃は、契約教員でも5年もあれば寿退社するか正規採用になると思っていた。 現実はそんなに甘くなかった。 看護師、前の学校で働いていた時は長く付き合っていて同棲していた彼氏がいた。 私がかなり我儘を言ったり一切家事をしなくても側にいてくれた。 はじめはすごくありがたかったけど、その内私はその優しさに甘えてしまった。当時は27歳。 もっと良い人いるかも。 そう思うようになった。中途半端に国公立大学を出ている私は、自分ができない分過去の栄光と 肩書きを鼻にかけており、プライドが高い弱い人間なのだ。 元カレは専修大学だった。スポーツ万能で割とかっこいい見た目、細マッチョで男気があるところ、 居心地が良いしカッコ悪いところも見せれるところがラクだった。 元カレの方は結婚願望が強かったが、私がずっと答えを渋っていた。 不満があるとしたら、彼氏は出世欲が低く、中小企業のサラリーマン。 休みの日もゲ一ムをしたりダラダラしたりと張り合いがなく、一緒に結婚しても生活が良くなっていかないように感じた。 同棲をしていて最後は荒川区、引っ越す前は神奈川県川崎市に住んでいた。 川崎市の時は2人で住んでいるのに家賃6万円のボロアパ一ト。はじめは元カレが1人で暮らす用であり、 広いところじゃないと住めない、住居には金をかけないという理由でそこに住んでおり、私が入り浸るようになり、 お金がもったいないと広い方に私も住むことになったが、とてもボロくて潔癖症の私にはかなりキツく、惨めであった。 ぼろくて沢山虫が入り込んできた。 地方から母と姉がこちらに遊びにきた時も恥ずかしくて家に呼べなかった。 「どんなボロ家に住んでいるの?」 母からそんな嫌味を言われた。 そこで東京で恥ずかしくない家に住もうと私から提案した。 元カレの条件として、このくらいの広さがないと無理という意見があり、私も譲歩して家賃11万の家で条件に合う物件が 荒川区にあったため引っ越した。家自体は綺麗であったが、荒川区という環境自体は変な浅黒い外国人が多数住んでおり、 治安が悪いとは思わなかったが、JRが近くにある訳でもなかったので、交通の便も悪いし、お店など便利なところとは いえなかった。 やっぱり惨めには変わらないか。 そう思ってしまった。穏やかで平和な毎日だけど、私の人生こんなもので良いのか。 努力して現状維持なら良いけど、もっと生活をより良くしたいと向上心を持って生きた方が生きがいが出てこないか。 また、学生の頃の私は洋楽や洋画が大好きでヨ一ロッパに対する憧れも強かった。 昔は国際結婚をすると思っていて1年留学に行ったりもしたが、ちょっとした恋愛はあっても、遠距離は続きそうに ないので恋人すらできなかった。 姉が同じ時期に私とは別のカナダに留学していたが、見事白人の上流階級の男性と国際結婚を果たした。 姉は私がやることを昔から真似してきており、そのついでで長く働いてきた看護師を辞めて留学をしていた。 簡単に私の昔からの夢を叶えていて羨ましかったし、やはり姉の方が魅力的で勝てる存在ではないと思い知らされる。 学生の頃、母親の職場の人達と会食に行ったことがあるが、姉のことはみんな綺麗と褒めていたが、私のことは 褒めていなかったらしい。 また、若気のいたりで夜の街でかなりのイケメンを姉といる時に見かけた時に、「2人で声かけて勝負しよう」 と私が言い始めた。 姉も乗ってきたので、声をかけてどっちか選ぶように言った時に、その場ではその男性は愛想笑いをしていたが、 あとで姉のことを誘っていたらしい。 私はコンプレックスの塊である。 変にがっついていると思われたくない。 職場でも良い男性は若い人でもいるが、職場で色々あると後で面倒くさそうなのもあり、外部で見つけようと考えた。 流石に社会人になってからむやみやたらに人と対立することは無くなっても、他人と長い付き合いができない私は男女共に友達が少ない。 良い男性を紹介してくれそうな人もいないため、アプリやSNSを利用して出会いの場に付き合ってくれる人を探すようになったのだ。 昔からのイメ一ジとして、30超えてまだ結婚していない人は訳あり。 本来の目標だったらもう結婚したいのだ。 今は29歳。もうあとがないかな。30歳なっても良い人がいなかったら、振り切って独身になろうかな。 そんなことを思っていたりもした。 今良い人がいないかって? 私は自分のことを棚に上げて男性にかなりこれダメあれダメがある。 良い人でも男として見れなかったり、自分より大した仕事をしていない人も嫌だし 良いかもという人は脈がないことが多い。連絡を送っても返ってこなかったりする。 しかし1人だけ付き合っている訳ではないが、私が体の関係もあり、好意を抱いている人物がいる。 その子は葵くん。新卒で大手保険会社に勤めている子だ。出会いはマッチングアプリ。 東大卒で地味な男の子。 マッチングアプリ自体初心者で大学時代ずっと同棲していたタメの女の子にフラれて始めたのだという。 アプリで出会ったのは私が初めてという。 初めて会った時葵くんが挙動不審で、視線がなかなか合わなかった。 フクロウカフェに行き、お茶をしたあとに葵くんの方から連絡先を聞いてくれた。 すごく嬉しかった。 ただ口下手な子で、その後何回かデ一トをしていたが、お酒に酔った勢いで体の関係にはなってしまった。 その後頻繁に会う訳ではなく、2週間に1回ほどのペースで会っており、その時は美味しいものを食べて 必ずホテルに行くようになった。 体目的なのかな。年下だし聞けない。聞いたら関係が終わってしまいそうで。 試すように、「好きだよ」と言っても「ありがとう」としか言われず、相手の気持ちがわからなかった。 付き合おうとも言われず、ダラダラしていた。 かなりの変人な子で、手を両手で振るのが癖で、冬になってもずっとワイシャツ、いつも同じのジ一パン、 いつも仕事用のような鞄を持ってきていた。 口数が少なく、穏やかで不思議ちゃん、見ていてほっこりして、とても彼のペースを乱す気にはなれなかった。 また、確信に迫ることが怖かったのかもしれない。 確信に迫る前に、もっと他に良い人いるかもと他で探す方に逃げていた。 私って誰にも必要とされてないのかな どんどん自己肯定感が下がってくる。 うまく自分ができないこと、劣っていることを隠して生きていかないと。 私は実はADHDというのは、絶対バレちゃいけないんだ。 中学の時は、人間関係が理由で吹奏楽部を途中でやめていた。 高校、大学は少しは成長して、個別で人と喧嘩したりはしても、孤立することはなかった。 ただ、大学の時など、一緒に卒業論文を書いたり、実習でペアで他の友人と組んだり、仕事が絡む時は 必ず人とぶつかってうまくいかないことが多かった。 私は何でも思うことをぶつけて失礼なことも言ってしまう。 それに加えて不器用で物覚えも悪く、細かいミスが多い。 口下手で緊張しいで本番にも弱い。バイトをしていてもミスが多かった。 集中力が弱く、何かをやっていてもすぐに他に目移りしてしまう。
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