神楽坂の夜

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神楽坂の夜

そこからまた2週間経った。 また翔からラインで誘ってくれた。誘ってくれる時以外は雑談などどうでもいいLINEはこない。 まあそんな仲ではないし。だいたい医者忙しいだろうし。だから連絡がきた時嬉しかった。 「またご飯でもどう?今度はちゃんと僕がお店探します。」 「お忙しいなら場所指定してくださったら私探しますよ!時間がある方がやればいいんですから。」 「大丈夫です。良い女をエスコートさせてください。」 ふふ、うまいな。思わず微笑んでしまう。 楽しみ。どんなお店探してくれるんだろう。おしゃれしていこう。 当日、平日夜であり、巻き髪を作るのに時間がかかって遅刻してしまった。 連続はひどいな、、、本当私ばか! 思わず走る。住所をはじめて調べて気づいたが、神楽坂の石畳の古い奥深しい料亭が佇む場所は住所が全て一緒なのだ。 送ってくれたURLで検索してもわからない! 近くの関係ない雑貨屋に入って店員さんに聞いて少し教えてもらいつつ、翔にも謝罪と状況説明のLINEを送りながら店に向かう。 翔は一度店から出て探してくれたらしい。 「本当に連続で遅刻してごめんなさい!」 落ち着いた料亭に入りながら私はカウンタ一に座る翔に第一声に謝る。 「いやいいよ、僕駅から一番わかりやすい場所からきたからさ!わかりにくかったね。」 優しく迎えてくれる。センスのある焼き鳥屋。 さすがお医者さんだな。 ビ一ルで乾杯する。 ここ良い雰囲気ですよね。なんて話す。 私は直属の上司も少なく、良いお店に行った経験がほとんどない。 緊張していた。 お酒が進み、「お酒強い?日本酒とか飲めますか?」翔がメニュ一を見せてくれながら聞いてくる。 「まあ強いですね。でも日本酒わからなくて。あ、面白い!惚れぐすりっていう日本酒ある!」 私は思わず笑った。 「じゃあ飲んでみる?」 「はい!」 「惚れてくれますか?」 「ははは、変な人!」 2人で笑い合う。 お酒が進む。もっと翔さんのことを知りたい。 「そういえば、どうして僕が誘ってきてくれたの?」 翔が聞いてくる。 「私自分から人に誘ったりできなくて。その代わり誘われたら人の誘いには必ず行くようにしています。」 「あ一、誰でも行っちゃうんだ。」 「いや、そういうわけじゃないですけど。」 私が困ってしまう。 「そうだ!合コンしようよ!3対3とかで」 少しイラッとしてしまった。 「別に友達に声をかけるのはいいですけど、私は行きませんよ。大学の頃とかよく合コンの幹事とか面倒見よくやってたりしたんですけど、 こっちがしてる分、されている方は感謝してなかったりするんですよ。それでもうそういう企画系しないでおこうと思ってたりするんですよね。」 「ああ、まあね。まあ僕も行かないけどね。」 自分から言い出した割にはそうやって引いていく。なんなんだろう。 「実はあのアプリ他の医者ともやっててさ!他の先生たちと、1人は医者っていうこととか経歴とか全部載せてやってみること、 もう1人は大学名だけ書くこと で僕が一番悪くて医療従事者って言うのでどれだけ女釣れるか勝負してたんだよね。期限1ヶ月で! 結果誰も釣れてないという笑」 翔が笑って話す。こういう裏話私にしていいんだ。酔いが回ってきてるのかなと思う。 「他の先生はどういう女性と会われたんですか?」 「あ、わりと綺麗な人よくきてたらしいよ!1人すごい綺麗な韓国人きて、医者ってだけじゃなくて役職とかまで聞いてきたらしくて、 平の医者に用がないって言われたんだって!やばくない!?」 と話している。私なら医者っていうだけでありがたいから、そんだけ自信のある女性も世の中にはいるんだと驚いた。 「ちなみにアスカちゃんどういう人タイプ?」 翔が聞いてくる。 「う一ん、、、不思議ちゃんかな。えって思うような反応されたら、こういう捉え方もできるんだって勉強になるじゃないですか。」 本当にそう思っているところがあるのでそう答える。 「へ一、、、」翔が答える。 今日はお店の雰囲気もあってかデ一トっぽい。 場所とか雰囲気ってこんなに大事なんだ。 お酒を飲み終え、店を出る。 終電が既に過ぎていた。 「タクシ一拾おうか。」 翔がいう。 通りを歩いていると、遅くまで開いていて賑わっているワインバ一があった。 「寄ってく?」 翔が言ってくれた。 「はい!」 2人で店に入る。 「何飲む?」 翔がメニュ一を開いて聞いてくれる。 「せっかくだからもちろんワインがいいんでしょうけど、赤か白かどっちにしようかな。」 「俺、赤苦手なんだよね」 翔が呟く。 「じゃあ赤にしましょう!」 私は酔いが回っていたのもあり、本来のズケズケしたS心が思わず出てしまった。 「あ一Sだねえ。ボトルでいっちゃう?」 「あ、いいですね!飲み比べしましょう!私強いですよ!」 ワインボトルがきた。2人でグラスにつぎあった。2人とも上機嫌だ。 「今他に何人遊んでる人いる?」 翔が急に聞いてきた。 「えっ、、、全員恋愛関係とかじゃないけど、誘ってもらってご飯いくような人は数人いるかな。」 私はマッチングアプリもするし、東京に長くいてクラブに行ったり夜遊びをする中で、遊び友達も増えていた。 合コンにも行ってるから少しは何かあったりもしている。 ビビビッとくる人がいるかと言われたらわからないが。 「へえ。じゃあその中でヤッてる人いる?」 葵ちゃんがよぎる。 「まあ、、、1人だけ。」 「へえ。」 「ほら、遊んでる人は何人かいても、体の関係は同時期に複数人いたら何かあった時に誰の子かわからなくなるから! 自分の中で迷いたくないじゃないですか!」 何を口早に言ってるんだろう。かといっていい年して誰にも抱かれていないのも恥ずかしいし、、、。 「まあそうだね。てかこのワイン甘いね!俺甘いものダメなんだよ!うっわ、変な酔い方する!」 と翔は項垂れた。そうは言いつつ、2人でボトルを開けた。私もフラフラしていた。 2人で店を出た。なぜか歩いている時にどちらからか手を繋いでいた。 「え、これは繋いでていいのか?」 翔が呟いている。 私は酔って上機嫌、ふらふらで返事をまともにできなかった。 翔がタクシ一を呼び止め、2人で中に入る。 行き先なんて言おう、、、 私の家に送って行くんだか住所言うしかないよな。私は運転手さんに自分の住所をいう。 その間も翔とはずっと手を繋いでいる。 繋いだままタクシーに座ると、私は自分の膝の上に繋いで重なった手を置いていた。 すると翔がハッとした表情になった。翔が繋いだ手を離して、私の股に手を伸ばしてきた。 ストッキングの上からアソコを刺激してくる。 酔っていたのもあり、私は少し顔を顰めて翔の顔をずっと見つめていた。 戸惑っていたので、股に力を入れて刺激を抑えようとしたが、翔はずっと刺激してくる。 運転手さんが、「こっち曲がればいいですか?」と声を急にかけられ、 「あ、そうです!」と私が答えつつ2人ともビクッとして翔の手が離れた。 そして私の家に着いた。 私は勢いよくタクシ一から降りた。 いやではないけど、パニックになっている。 翔も勢いよく降りてきた。 「今日ありがとう、、、いいんだけどさ。キスくらいさせてよ」 翔がこっちを見ていう。 私もしたいと思ってしまった。私はマンションとマンションの隙間の細い通り道に翔を誘導した。 2人とも少しの間向き合って立っていた。 「あれだよな、僕たちどっちも奥手だから、、、」 翔がいう。 「あっ、、、」私も困ってしまう。 この人とキスしたらどんな感じなんだろう 無意識にそんなことを思ってしまった。酔った頭がボ一ッとしているのに、自分の心臓がバクバクしているのがわかる。 すると翔が、リ一ドしてキスをしてくれた。 気持ちいい 舌を絡ませて心地良さを感じる。 キス上手いな。 翔の手が私の胸に伸びてきた。 服の隙間から直接胸を触ってくる。 胸を揉んだ瞬間、翔がハッとして私をギュッと抱き寄せる。 「おっぱいめっちゃでかいね。俺こんな当たりくじ引いていいの!?」 といい、服を捲ってブラジャ一をずらし、直接おっぱいを揉みつつ、乳首を吸ってくる。 私の息が上がる。 好きな人に喜んでもらえたことは素直に嬉しい。 ただ私はややぽっちゃりしていることがコンプレックスだ。 翔は背が低くく、華奢である。 胸はいいが、腹回りなど太い部分はあまり見られたくないし、触られないように神経を使っている。 翔が私の谷間に顔を埋めて、「たまらん!」と言っている。 私を選んでくれる? 翔の手がパンツに伸びてくる。 私をマンションの壁に押しやってくる。 本能から、 あ、これはまずい   と思った。 「だめ!」 「何で!?おっぱいとかはよく触らせてんでしょ!ほとんど触らせてないここ触らせろよ!」 人が変わったように強くそう言ってくる。 男の性欲のせいかもしれないけど、私のこと遊び人って思ってたの? なんか悲しい。 「待って!ここで最後までするの!?」 私が男の力でパンツに伸びている翔の手を制止しながら声をあげた。 「ホテルいこ」 翔がいう。 「でも、、、勿体無いじゃないですか。せっかくこんな良いお医者さんもいるんだって すごく嬉しかったし、尊敬もしてたのに。きっとホテル行くのは簡単ですよ。でもそしたら私はセフレはいらないから ワンナイトになっちゃう。それって勿体無いじゃないですか。せっかく会えたのに。翔さんをセフレにするのは惜しいです!」 私が言った。 すると翔がハッとした表情になり、一歩後ろに引いた。 「うん、わかった。ごめんね。帰るね。」 冷静になった。 あ嫌われたかな?  心配になった。 私がオロオロしていると、翔がマンションの前まで戻り、タクシ一を拾った。 乗る前にこちらに向き直った。 「今日ありがとうございます、、、、、、、もう行ってもいいですか?」 「あうんいいよ。ごめんね。今日ありがとう。」 いつもの落ち着いた翔に戻っていた。 そこで2人は別れた。 深夜2時の出来事、、、
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