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久しぶりの外出は、少しでも楽しめる場所に行こうと、昔から慣れ親しんだ遊園地。
僕は小学校低学年くらいの時から遊園地が大好きで、街を一望できる観覧車が、大のお気に入りだった。
家族3人、観覧車に乗って景色を眺める。
ゆっくり、くるくると回り、そして揺られるこの時間が、今もなお好きだ。
遊園地に来たのは約3年ぶり。
5歳になった弟の悠馬は、「お部屋がまわってるー」なんてはしゃいでいる。
彼の記録の中に、2歳の頃の記憶なんて無いだろうから、この時間はとても新鮮なものだったはず。終始笑っていて、僕も嬉しかった。
他のアトラクションも満喫し終わって、悠馬は「ママ、あれ、のりたい」と指差す。
指差す先は――そう、観覧車だ。
「悠馬も智也に似て、観覧車が大好きよね」
そう言って、母は笑顔を溢した。
列に並んで、順番が来るのを待つ。
くるくると回るそれを、待ち時間中ずっと目で追っていた。悠馬も隣で黒目をくるくるとさせていた。
あ、順番が来た。
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