バカは誕生日にリベンジする

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　二郎君からエビの頭をもらって吸った。苦味と海の香りが口の中に広がる。エビみそ美味しい。不意にホヤも食べたくなったので注文した。ホヤ刺し。旬ではないが美味しかった。ホヤの好き嫌いが分かれる原因であるあの独特なにおいもそれほど感じなかった。会計の時に店員が二郎君に「写真撮っていいですか」と頼んでいた。店員のスマートフォンを借りて俺が撮った。店の前で。看板が写り込むように。店のSNSに載せるのだと言う。後で「いいね」しなければ。

　昼食の後は円通院に行った。ここは庭園の紅葉が有名だ。見頃の時期には夜にライトアップされて幻想的な風景が楽しめる。とは言え俺の誕生日になると見頃も終わっていて紅葉は散ってしまうので少し物足りない。誰しも無い物ねだりをするものだということはわかっているが、11月生まれって、何だか微妙だ。何とはなしにそのことを口にすると二郎君が苦笑した。

「考えてみれば俺の誕生日も微妙かもしれない。梅雨真っ只中だし」