1

7/10

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「僕の会社って胡散臭いから、しょっちゅう変な人から問い合わせがあるんだ。私は透視ができますとか、UFOに攫われたことがありますとか、ツチノコを捕まえましたとか。大体はインチキなんだけどね」 「大体は」 「そう、大体は」意味ありげに「大体」を強調する丈晴さん。「僕の見た所、本物と認められそうな事象は問い合わせのうちの1%ぐらいかな。100件あれば1件は説明のつかない超常現象」  思っていた以上に多かった。空になった笹かまぼこの小袋をポケットに突っ込む。丈晴さんは続ける。 「僕らの仕事はオカルトグッズを売るだけじゃない。その1%の人々を把握し、管理し、保護するのも役目のひとつだ」  なるほど。どうやら彼はただの面白おかしい「オカルトおじさん」ではなさそうだ。彼は「後で二郎君にリストを見せてもらうといいよ」と言ってから改まった表情をこちらに向けた。 「松下君はアポカリプティックサウンドは知ってる?」 「黙示録のラッパの音とか言われてるやつですか」 「流石。あれじつは鳴き声なんだ」 「何の」 「僕らはヒトガタって呼んでる」
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加