ゲーマー保坂くんの家に行った場合 ①

1/4
218人が本棚に入れています
本棚に追加
/133ページ

ゲーマー保坂くんの家に行った場合 ①

「ねぇ、行ってもいいだろ~?」 「ダメったら、ダメ。」 「え~、だって相手、保坂だよ。いいじゃん別に~。」 「ダメ。ってか、誰が相手だってダメって分かってんだろ。」 「いいじゃん、けちー。」 ほぼ毎日繰り広げられる攻防戦。 今日も俺の負け。 ま、勝ったことなんてないんだけど。 俺、渡邊幸樹は三歳年上の彼氏と同棲中だ。 相手は同じ大学のサークルの先輩だったりする。 相沢貴明先輩。超かっこいい俺の恋人。 うっかり同性が恋愛対象ってぼろりとこぼしたら、あっという間に一緒に暮らすことになっていたという、魔法使いのような人だ。 田舎もん丸出しな感じで上京したばかりだった俺はといえば。 都会ってすげぇ。 結構オープンなもんなんだなぁ。 なんて感心するばっかりで、流れ流され、いつの間にか先輩と一緒に暮らす事に同意していた、らしい。 『らしい』というのは、いわゆる流されるまま、ほにゃららの最中で同意したみたいだから。 ほぼ記憶になかったし、それ、犯罪ですよね、って思っちゃうけど、先輩の顔が俺の超好みだったから、結果オーライって事だろう。 今は本当に好きだよ、本気で。 「あ、そうそう。幸樹、俺、今日ちょっと遅くなるから。」 「え~ならなおさら保坂の家に行ってもよくない?」 「よくない。それはダメ。」 「じゃ、泊まらないから、ならいい?先輩が帰ってくる前に帰ってきておくから。それならいいんじゃ・・・」 「幸樹。それでもダメ。」 ああ、また負けた。 いつもいつもそうやって反対される。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!