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   一年に一度、この時期にしか見られないその儚いものを暫し見上げていた海斗だったが、由成の手の温もりを感じる手を握り返し、その視線を引いた。  …夜空を飾る星にも負けないほど輝く瞳が、結び合う。 「メリークリスマス」 「…メリー、クリスマス」    交わす言葉も少なくそれだけ言うと、どちらとも顔を近づけ──口づけを、交わす。  二つに割れたシルエットが一つに重なり、夜道を明るく照らす目映い光が明滅する穏やかな雪空に、  軽やかな鈴の音がどこからか鳴り始める。  それは、  新たな道行きを歩み始めた二人を祝福するように──…  高く、高く  響き渡ったの、だった───……              END。 '
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