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特等は、「契約エマーン人」
オレは、その説明書とやらを、おじさんの汗で滑った手から奪い取って、中身を見た。
「は? なんじゃこりゃ?」
さらに驚いたのは、その景品の中身だった。
「なんすか、この景品『エマーン人との素敵な契約』っての」
オレは、思わず、おじさんを問い詰めた。
「さあ?」
だが、おじさんは眼鏡を曇らせながら、首をかしげるだけだ。
「さあって。おじさん、主催者でしょ?」
おじさんは、汗を拭いていた。
「ガイダンスでも、そんな説明なかったし、最初に見た時は、最高が一等までだったんだよ」
この狼狽え方。ウソを言っているようには思えなかった。
「ま、どうせタダだから、どうでもいいけど。フィギュアなら、いらないから」
おじさんの狼狽えぶりに、逆にオレは白けてしまった。
「んー、ごめん、翔ちゃん。ティッシュ持ってって」
なぜか、おじさんはポケットから、文字通りポケットティッシュを取り出して、オレに手渡そうとした。
「いや……。いらねえっす。てか、何か変な文字書いてあるけど。読めない……」
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