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悔し涙と、文字の読めないティッシュ
ドサッ
オレは、ベッドに寝転んで天井を見上げた。
「はあ、おじさんに騙されたわ。あんなアブラギッシュなティッシュもいらないし」
とっくの昔に、あの汗まみれで、文字のような見たことのない模様が書いてあるティッシュは、既にゴミ箱の中だ。
「詰まんね。結局、何も変わりゃしないんだ」
なぜか少し、涙がこぼれ落ちた。
「はは、結局、ハズレ親ガチャを引いた瞬間、つまり生まれた時から、この冴えない人生は決まってたんだ」
大して才能がなくても、親が金持ちだったり、会社を経営してたり、議員だったりすれば、苦労もせずに、楽しい毎日が、満ち足りた日々が約束されるのに。
そんな悔しい気持ちが、心の底から溢れだしてきたのだ。
「生きるって、何だろううな」
そんな漠然とした疑問が沸いてきた。
と、その時。
ピンポーン
不意に、呼び鈴が鳴った。
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