リアルなガチャに挑む

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リアルなガチャに挑む

「は? どういう意味だよ、それ」  多額の借金を背負ってまで手に入れた「大卒」という名の資格が、ただの高卒に負けるはずがない。 「あのな、無名私大の文系なんて、工業高校卒のブルーカラーよりも使えねえって言われてんだぜ? それに、就活の時なんて、Fラン私大って聞いただけで、『あ、コイツの4年間は、サークルと合コンまみれだね』ってレッテル貼られるんだっつーの」  佐藤は、チキンの包み紙を丸めてポイと捨てた。 「ちょっと待て。オレ達は、そのサークルやら合コンにすら縁がないんじゃないか」 「はは、全くだ。負け組の子供は負け組だな。お、バイトの時間だ。じゃあな」  鈴木は、そそくさとスマホを見ながら駅の方に走って行った。  オレは、バイトさえもしていなかった。  つまり、暇だけはある。  学校近くには、小さな商店街がある。いわゆる昔からの商店街で、ローカルなニオイがぷんぷんする。  カランカラン  どこからか、鈴の鳴る音が聞こえて来た。 「ん? 福引き?」  小学校の頃から通っていた玩具屋の前で、福引きをやっている。 「どうせ暇だし、でもやるか」  自然と、足が向いた。
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