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エマ―ン人フィギュア
「おじさん、久しぶり」
「おお、翔ちゃんじゃないか。元気に大学生してるかい?」
玩具屋のおじさんは、昔馴染みだ。
小太りで、髪が薄い。店内には、ガンプラが所狭しと並べられているのが特徴だ。割と流行っている。
「え、ええ。まあ。てか、珍しいですね、ここで福引きなんて」
「そうだね、このフィギュア知ってるかい?」
おじさんは、掌に収まる様なフィギュアを出してきた。
どこかで見た様な、アニメキャラだった。
髪が栗色で目が黒目がちで、キラキラとしている。
一つ、不思議なのは長い髪の毛から、2本の枝毛?のような伸びた毛が出ていることだ。
「これ、何ですか?」
「エマ―ン人フィギュアさ」
「エマ―ン人? なんすか、それ」
「知らないのかい? 今、凄く流行ってるアニメのキャラだよ。どこから来たのか、どこへ行くのか。全く謎に包まれた美少女さ」
おじさんは、元からオタク体質なのか、ウインクしつつ親指を立てた。
正直、気持ち悪い。
オレは、そのアニメを全く知らなかった。
「そ、そうっすか。じゃあ」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってよ。ガチャやってってよ」
「いや、ガチャじゃなくて福引きでしょ? 券持ってないし」
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