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おまけで
「翔ちゃん、どうせ彼女とかいないんだろ?」
グサッ
この人に言われたくないなと思いながらも、そうだとは言えなかった。
「募集中ですが、何か?」
おじさんは、ニヤリと笑った。眼鏡越しの細い目が一層細くなる。
「だよね~」
この言い方が、マジでムカつく。
「だから何っすか。お金もないし、無理っす」
「分かった、分かったって! 一回だけ、タダでガチャ引かせてあげるよ」
タダー。
何という甘美な響きだろう。
タダより高いものはないと言いつつも、こんな商店街のガチャごときで損することもないだろう。
「てか、一等の商品は?」
「このフィギュアだよ!」
脂ぎった手で、おじさんはエマ―ン人フィギュアを高らかに掲げた。
「……やっぱり。ま、ティッシュもらって帰ります」
5等のティッシュをもらうつもりで、オレはガチャを引くことにした。
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