真・王道転校生

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side瀬川 生徒会室を出て、早足で寮を目指す。 その途中、俺の親衛隊の子っぽい生徒が湊さま、お元気ですか?と言ってきたが、笑顔で流して先へ進む。その間も、昨日来たばかりの転校生、六条灯が先ほど浮かべた顔が脳裏に張り付いていた。 きっと本人は顔に出していないつもりなのだろうが、その顔は頬が緩み、目が輝いていた。 元々の顔立ちのこともあり、その顔はとてつもなかった。 どのように、というのは説明できない。とにかく、その顔を見た時、言葉で言い表せない感情が、胸を占めた。その時のことを思い出して、ふと気づく。 「あー、まじか。やばいな」 そして、思わずそうこぼれてしまった。 それは、人生で初めての恋、なのかもしれない。 そう思った。 それからこれから夜遊びはしないようにしよう、とも思った。 感情が整理できたところで、ちょうど寮に着く。 スーパーに寄って、部屋へ帰るとしよう。あーちゃん、何が好きなんだろ。 聞いとけば良かった。先程生徒会室で行われた質問会のことを思い出して悔やむ。あの時は部屋に呼ぶ気なんてさらさらなかったからな。 何作ろう、と悩んだ結果、一番得意なオムライスにした。 自分で言うのも何だけど、俺のオムライスは日本で一番と言っていいほどのものだ。なぜなら、俺の親が経営しているレストランのオムライスは、俺が考えたメニューだから。そのレストランは、海外にも出店していて、日本内では一番と言われているレストランだ。何を基準にしてなのかは分からないが、多分味と接客と値段とかだろう。昨年、何かの賞をとっていた。 オムライスを食べた時のあーちゃんの顔を想像しながら材料をカゴに入れていく。ついでにデザートも買っておいた。 レジを通し、部屋へと戻る。猫はリビングで寝ていた。 数ヶ月前に雨の中、縮こまっていたのを見つけてから、俺が世話をしている。 猫を見て、またあーちゃんのあの顔を思い出した。 かなり重症なのかもしれない。まぁ、問題ないのだけれど。 そんなことを思いながら、オムライスの準備を始めた。
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