真・王道転校生

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ピンポーン  ガチャ 「あーちゃん、いらっしゃ……なんでいんの?」 おれたちを出迎えたのは笑顔の瀬川先輩…じゃなくて無表情の瀬川先輩だった。 ドアから出てきた瞬間の笑顔どうしたんだよ。 表情筋が仕事してないよ、先輩。 「みっちゃんだけはずるいよ!」 「なんのこと〜?ていうかぁ、人の部屋にこの人数で押しかけるの常識なさ過ぎじゃないー?」 「お前には言われたくねぇ」 「b…会長にも言われたくないなぁ」 「とにかく入ろー!」 「そうだね入ろ!」 「かづとはづが決めないでよー」 と、ごちゃごちゃなりながらも、瀬川先輩の部屋へ入っていく。 あの後、生徒会メンバー全員を誘いにいき、会長と葉月先輩が加わって、なんかお土産買ってこー!と言うことでスーパーで色々買ってから瀬川先輩の部屋まで来た。ちなみに葵は、急に用事が入ったとか言ってどこかへ行ってしまった。 タイミング悪いなぁと思いながら、おれも先輩たちに続こうするが、後ろから腹周りにまわされた腕によって阻止された。 「ねぇ、あーちゃん、俺が呼んだのあーちゃんだけだよね?」 いつもの瀬川先輩の声とは違う、少し掠れた声。 めっちゃ好き…じゃなくて。 「すみません、丁度夏月先輩と廊下で会ってですね…」 「俺、あーちゃんのためだけに準備したのに」 ぼすっ、と顔を肩にうずめてくる先輩。 結構落ち込んでる?なんか他にも嫌なことがあったのかもしれないな。 ま、それが何か、おれには知る由もない。 「じゃあ、今度は2人でご飯食べましょ?瀬川先輩のオムライスって美味いんでしょ?」 だから、こんな提案をしたわけだが、先輩の反応がない。 あれ?図々しかったかな? 「先輩が良ければですけどね?」 「………良いに決まってんじゃん」 「それじゃ、約束ですよ?ねこちゃんも今度来た時は独り占めします」 「……うん。そうだよね、ねこ見せてあげるって言ったもんね」 「はい。もふもふしまくりますからね」 家で買飼ったことないからね。猫とか犬とか。 テレビでしか見たことないんだよなー。 「あーちゃん!みっちゃん!はやく!」 夏月先輩の声が聞こえ、先輩たちが先にリビングに行ったことを思い出す。 「瀬川先輩、急ぎましょ。みんな待ってるっぽいです」 「あーちゃん、瀬川じゃなくてさぁ、湊って呼んでよー」 「それ、今、言います?」 「今思ったからねー」 「わかりました。じゃ、湊先輩、行きましょ」 「うん、いこー」 この数秒後、おれと湊先輩がリビングに入った瞬間、夏月先輩と葉月先輩にスーパーで買ったクラッカーをお見舞いされたのだった。
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