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「えっと、それだと上半身しか隠せないじゃん。あとのところはどうすればいいの?」
太一は驚きのあまり、状況をよく飲み込めない。店主はこほんと咳払いして
「えー。完全に透明になるには、①帽子、②フェイスマスク、③ハイネックのセーター、④手袋、⑤ズボン、⑥靴下、⑦靴、すべて蜘蛛の糸で作られた製品を手に入れられなければなりません」
と言う。
「え、で? ここには③のセーターしかないの? ほかのものはどこに行ったら買えるの?」
太一は狼狽した。店主はとても響くいい声で
「透明人間になれる蜘蛛の糸製品は、7つに分かれてこの世界中のどこかに点在しています。あなたはこれから、それを探す旅に出るのです!」
と言ったが、横呉太一は床にしゃがみ込んだ。
「えー……。やだよ、めんどくさいもん。旅とか、ちょう疲れるもん。なんかそんなふうなはなし、どっかで聞いたことあるし……」
早くもこころ折れた太一に、店主は優しかった。
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